「今日はこの子の筆を買いに来たのです。でもこの子は絵を描くのが大嫌いなの。このままでは絵の描けない王子様になってしまいます。」
「なるほど、それでしたら、どうぞお選びください。ここには、数千種類もの筆をそろえてあります。きっと王子様がお気に召す筆も見つかるでしょう。」
「まあ、素晴らしいわ。」
そう言うと、王妃は気に入った筆を手にとっては、王子に持たせようとしますが、どれも王子は嫌がって、すぐに泣き出してしまいます。
とうとう、王妃様は全ての筆を王子様に見せ終えましたが、一つとして王子が手にする筆はありませんでした。